◆野村四郎プロフィル

能役者野村四郎師は
2021年8月21日に急逝されました。

観世流シテ方能楽師 野村四郎  プロフィル

東京芸術大学名誉教授
(社)日本能楽会会長
(社)観世会監事
(社)銕仙会相談役
伝統を重んじつつも、多様にして新たな試みで
能の芸能としての展開をめざすとともに、
日本能楽会(重要無形文化財総合認定団体)の会長として、
流儀を超えて能楽界のリーダー役


■略歴
 1936年和泉流狂言方六世野村万蔵(人間国宝)の四男として生まれる。3歳で「靭猿」の猿で初舞台を踏んだあと、狂言の修業をする。
 1952年16歳で、能楽シテ方25世観世左近元正宗家に入門師事。能楽師の道を歩み始める。観世寿夫の教えも受ける。
 現代を代表する能楽師の一人である。芸風は品格があり、端正で流麗。作品への深い洞察と確かな技術を極めて、高い評価を得る。
 能の主な曲、大曲・秘曲のほとんどを上演し、新作能や他のジャンルとの共演なども試みる。海外公演多数。能楽界の重鎮として活躍している。
 著作に『能を彩る 文様の世界』、『仕舞入門講座』、『狂言の家に生まれた能役者』『芸の力』など。文化庁芸術祭優秀賞、芸術選奨文部大臣賞、観世寿夫記念法政大学能楽賞、日本芸術院賞など受賞。また紫綬褒章、旭日双授章。
 日本能楽会会長、東京藝術大学名誉教授。 兄は狂言師の野村萬、万作。兄二人とともに重要無形文化財各個認定(人間国宝)。

1936年(昭和十一年)和泉流狂言方六世野村万蔵家に出生
1940年 初舞台狂言『靭猿』
1952年 二十五世観世元正に内弟子入門、観世寿夫に師事
1955年 初シテ『俊成忠度』
1962年 独立、これより観世流シテ方として活躍
1978年 日本能楽会会員の重要無形文化財総合認定保持者
1987年 野村四郎の会『求塚』で文化庁芸術祭優秀賞
1994年 芸術選奨文部大臣賞
1998年 紫綬褒章
2003年 第二十五回観世寿夫記念法政大学能楽賞
2006年 2005年度第六十二回日本芸術院賞ー近年の舞台活動に対して
2016年 重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定
2018年 旭日小綬章

■古典の秘曲、大曲あるいは復曲能のかずかずを上演
『猩々乱』『石橋』『道成寺』『恋重荷』『砧』
『屋島大事』『鷺』『卒塔婆小町』『鸚鵡小町』
『三輪誓納』『檜垣』『姥捨』『芭蕉平調返』『木曾願書』ほか

■新たな試みにとりくむ作曲・作舞・上演・演出
・新作能
『実朝』(原作:高浜虚子)、『水底の感』(原作:夏目漱石)
・異分野の邦楽と共演
『熊野の物語』『相聞』『竹取物語』『賢治宇宙曼荼羅』『スサノヲ』
『謡かたり隅田川』(「謡かたり三人の会」豊竹咲大夫・村尚也と結成)
『葵上』(山田流筝曲による) ほか
・他流との共演
『隅田川』(宝生流と)等
・オペラ演出と出演
『浦島』(坪内逍遥原作)、『オルフェーオ』(モンテヴェルディ作)

■海外への能楽普及
・ヨーロッパ、アメリカ、インド等で能楽を公演、世界各地普及に貢献

■後進の育成指導
・観世流職分として能楽界の後進を育成
・東京藝術大学音楽学部教授として能楽研究と教育
・ワシントン大学、ハワイ大学等で能楽指導

■野村家の人々
・長男の野村昌司は観世流シテ方能楽師、2006年「道成寺」を披く
・和泉流狂言方の野村萬と野村万作は兄
                            
                         (2019年12月現在)